一級建築士の学科に3か月で独学合格できる市販テキスト&ウェブ教材

今はネットでいろんな情報が手に入る時代。一級建築士の学科試験は昔よりも独学で受かりやすくなっているといえる。学習方法を工夫すれば、高いお金を払ってスクールに通うよりかえって効率的に進められるかもしれない。

参考までに昨年、自分が独学で学科に受かった勉強法を紹介してみようと思う。対策は万全で足切りすれすれだったが、とりあえず「こんなのでも受かった」という程度の体験談だ。まずは利用した教材の紹介から。

法令集はTAC

内容的には総合資格や赤や黄色の本でも変わらない。個人的にコンパクトで厚みがあるものより、多少机の上で場所を取っても薄型の方がよかったので、TACを選んだ。

インデックスの貼り方や、マーキング個所がウェブで無料公開されているというのは、画期的なサービスだ。勉強終盤では、TACのウェブサイトにある後述の講師ブログにも大変お世話になった。

建築知識の『スピード学習帳』

予備校の市販テキストは受講を促すためか、不親切にもほんの要点しか整理されていない。独学でも問題集や過去問はふんだんに手に入るが、十分な密度の教科書を手に入れにくいのがこの試験の課題といえる。

一般に流通しているテキストの中で、一番内容が充実しているのがエクスナレッジから出ている『スピード学習帳』。建築資格試験研究会『スタンダード』シリーズより、A4サイズで読みやすく解説部分のボリュームも多い。

ラクラク突破の1級建築士スピード学習帳2018

ラクラク突破の1級建築士スピード学習帳2018

 

 3ヵ月という短い準備期間の中で、一番お世話になった本だ。これのテキスト部分をすべて覚えられれば合格は固いだろう。問題部分に出典情報はないが、実は過去問からピックアップされた頻出選択肢で構成されている。TACの法令集を見習って、科目ごとにカッターで切り分けてコンパクト化した。

f:id:kenko-san:20180123121906j:plain

最低最悪『スピード学習帳』だけ究めればボーダーに届くかもしれない。自分はこれに時間をかけすぎて過去問を解く時間がなくなってしまったが、結果的には問題なかった。

知識ゼロで過去問を解いても効率悪い

世間で言われるように過去問重視で、知識がないのに問題にあたるのは効率が悪いと思う。過去の記念受験でどんな内容が問われるかは大まかに把握できていたので、とにかくテキストで基礎を固めてから問題を解く方が早いと思った。

見開き2~4ページくらいの分量にテーマごとの要点が記載され、コラム的な挿話もある。しかし、注釈表の中のネジ寸法や養生日数みたいな情報も、実は過去の出題例から選りすぐられている。問題文の方には、そういった重箱の隅を突くようないやらしい問題もある。テキストと問題を照らし合わせて読めば読むほど、よく練られた構成だと感心することがあった。

1科目ごとに集中して、ノートにまとめながら1日数単位ずつ。一巡しても最初の方は忘れてしまったので、もう一周して問題は2度解いた。2回とも間違えた問題には印をつけて、直前まで何度も見直した。

学習範囲が広いので、構力序盤の計算問題とはいえ、1か月後にはすっかり解法を忘れている。やみくもに他の教材に手を伸ばすよりは、『スピード学習帳』を信じて何度もこなした方がいい。一通り眺めただけでうろ覚えの知識では、本番で役にない。

過去問は日建学院の『チャレンジ7』

同じく予備校の過去問題集、総合資格の『スーパー7』と書店で見比べて、サイズが大きく読みやすい日建学院版を選んだ。総合資格は学生時代に無料模試を受けた後、営業がしつこくて嫌いになったという理由もある。

1級建築士 過去問題集チャレンジ7

1級建築士 過去問題集チャレンジ7

 

 『スピード学習帳』を数回こなしたが、実際の過去問に試験時間どおり挑んでみると、なかなか合格水準に到達しなかった。特に法規は時間を無視すれば高得点を狙えるが、本番では法令集を引く回数自体セーブする必要がある。

過去問題集を開いたのはすでに7月の半ばに入ってから。『スピード学習帳』がなかなか満足いくほど解けなかったので、予定を変更してそちらを何回も復習した。7年分の収録数だが実際に解けたのは直近3年だけ。試験本番が来て時間切れになってしまった。

問題を解くだけならもっと掘り下げられたと思うが、解説が驚くほど充実しているのでついつい深読みしてしまう。『スピード学習帳』では各問題数行程度の解説だったが、こちらは1ページを割いて根拠・出典・参考図も示しつつ各選択肢をフォローしてくれる。本の内容通り7年分すべて目を通せれば、かなりの実力をつけられそうに思った。

余裕があれば過去問古本

直近7年をその半分もこなせなかったのに、早まってそれより古い過去問題集を購入してしまった。日建学院の『チャレンジ7』平成22年版には2003~2009年の問題が収録されている。最新の2017年版と合わせれば、過去14年間の問題に目を通せるはずだった。

1級建築士過去問題集チャレンジ7〈平成22年度版〉

1級建築士過去問題集チャレンジ7〈平成22年度版〉

 

書店で流通していない過去問の古本は人気があるのか、定価2,500円のところアマゾンのマーケットプレイスで4,400円もかかった。時期によって価格の変動が激しいが、今はプレミアム価格で1.5万円もするので手を出さない方がいい。ヤフオクの方で安く出品されていることもある。

一級学科は過去問20年分解けば受かるといわれるので、余裕があればこなしておきたい。自分の場合は過去問3年とテキスト記載の頻出問題だけでクリアできたので、必須ではない。

TAC井澤講師の勉強部屋

環境の空調設備が理解できず、ウェブで検索していたらたまたま見つけたこのサイト。1問1答形式で、かなりのボリュームの解説が気前よく無料で公開されている。法規以外の計画から施工までざっと400問、試験前は移動中や食事中もスマホでずっとチェックしていた。

単なる過去問解説でなく、比較暗記法というコンセプトでまとめられているが特徴である。例えば「筋交い軸部と接合部のどちらを先に降伏させるべきか」は木造と鉄骨造で真逆になる。年によって正誤の選択肢は変化するものの、引っ掛け問題で狙われるポイントがわかるので助かる。

「ヤングは固い」とか時折挟まれる下ネタは、原口先生の影響だろう。大学受験で高校生に教えるにはNGだが、大人向けの建築士受験なら何でもありだ。図表の解説も充実していてイメージをつかみやすい。TACは法令集の線引きだけでなく、こんな優れた教材をウェブで公開していて太っ腹だと思う。

独学組にはうれしいサービスなので、ありがたく利用させてもらおう。空き時間にスマホでもチェックできる。試験間際になったら、市販テキストより「井澤講師の勉強部屋」を通読した方が得点に結びつきやすい。基礎学習から直前チェックまでオールマイティーに使える素晴らしい問題・解説集だ。