一級建築士製図試験~学科に続いて独学で初挑戦するもランク3で玉砕

学科試験の自己採点が94点だったので、一応したという想定で二次試験の準備を始めた。

足切り点ぎりぎりの科目があるので、自分の採点ミスなどあれば一発アウトの恐れもある。それでも受かった場合は9月の合格発表まで1ヶ月ボーっとしている訳にもいかないので、前倒しで勉強しようと思った。

一級建築士の実技・製図試験は、6.5時間の制限時間でA2サイズの用紙に、そこそこな規模の公共建築を設計するという内容。同時にA3サイズの用紙に計画の要点を記述する文章問題もある。

2017年の課題はリゾートホテル

建築の種類や階数・必要図面は学科試験の前に事前公開される。今回は「小規模なリゾートホテル」だったので、いくらか楽しげに見えた。少なくとも、子育て支援施設とか介護老人保健施設よりはモチベ-ーションが上がる。

ホテルのバックヤードは、昔アルバイトで覗いた程度。事務室やリネン室で配置はパターン化できそうだ。利用客とサービス側のゾーニングと動線は明確に分かれるだろう。

素人でも何となくプランがイメージできて、エスキースは簡単そうに思われた。何より「リゾート」という響きがいい。今年の夏はホテルを設計しながら脳内リゾートでエンジョイしよう。

手描きのハードル

図面も記述も手描きというのが、最初に感じるハードルだ。今どき実務で図面を手がきしている人がいるとは思えない。CADやCGソフトに慣れてしまったので、普通に鉛筆で文字を書くことすら1日に1回あるかないかだ。

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筆記の筋肉がなまりそうなので、最近は努めて万年筆で日記を書くように努力している。そうでもしないと、自分の名前や住所すら手で書けなくなりそうだ。まともな建築図面というのは、社会に出てからかいたことがない。

自分の世代はまだケント紙にロットリングで墨入れするという訓練があり、CADの演習も選択で選べた。研究室にiMacが並び始めてデジタル化の過渡期だった。設計演習ではCADが流行ったおかげで、かえって手がきの方が目立つ(講師も昔ながらの手描きを評価する)という風潮があった。

黒い紙に白インクで線を書くため、カラス口を使ってみたこともある。一定の太さで線を引き続けるのは至難の業で、1本引くごとにペン先をインクに付けて拭うという途方もない労力がかかる。製図試験ではまだ鉛筆でよかったが、図面の墨入れほど「実世界でUndoできたら」と思う作業はない。

製図版とT定規が並ぶ風景なんて、今の建築学科では見られないのではなかろうか。BIMとVRや3Dプリンターを組み合わせて、模型すら不要なのかもしれない。

製図も独学で挑戦

学科が独学でうまくいったので、製図も自力で挑戦してみようと思った。同期の有資格者は、そもそも学科からスクールに通っている人ばかりなので参考にならない。一般的には「学科は独学でも製図は習った方がよい」といわれるらしい。

例年学科試験の合格率は18%程度だが、製図試験は40%とずっと高い。学科免除で受験できるチャンスがプラス2年あるし、自分はフリーランスで時間も豊富にある。どのみち学校に通えば最低でも10万円以上取られる。

学科は昔に試しに受けた経験があったが、製図は初めてなので実情がよくわからない。とにかくお金をかけずに済むように、初年度はダメもとで独学を通してみようと思った。

見事に散った初製図試験

結果的に初挑戦の製図試験は力及ばずランク3で落ちた。

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リゾートなのにジムで鍛えたり、露天風呂で地域住民と交流させられる変な課題だった。果ては「用途を自分で考える部屋」というメタレベルの課題まで出て混乱した。敷地図が別用紙とか空調・給湯が中央制御式とか、イレギュラーな条件が出題されまくり時間も足りない。

テキスト通りの3層吹き抜けツインコリドーしか思い浮かばず、「8mスパンで客室L字配置」という最適解には辿りつけなかった。単純に練習不足、しかも教材が日建学院の課題だけに偏り過ぎて、見事に裏を書かれたともいえる。

大手の長期コースは50万超

翌年も再び受けるつもりだが、受験料がまた19,700円かかるのは地味に痛い。学科免除だからといって半額になるわけではないらしい。

昨年一級を受験して、同じく製図で落ちた知り合いは、すでに専門学校の長期コースに申し込んで練習中だという。日建学院の設計製図パーフェクト本科コースは税抜52万円という途方もない金額。総合資格の方なら税抜82万円…それでも事務所を開業しているなら、資格を取らねば仕事にならないのだろう。

製図を落ちたら「罰金50万、懲役10ヵ月」といわれるゆえんだ。実務に役立たない写経のような製図に従事させらえるのは、まさに収容所の強制労働のようであう。

学科に比べると製図は2か月程度しか準備できなかった。それも8月中はほとんどだらけて、見当はずれの学習ばかりしていたように思う。もう一度、独学でもしっかりスケジュール決めて適切な課題にあたれば、クリアできないこともなさそうに思う。

割安な通信添削

それでも自分は「知識及び技能が著しく不足している」ランク3からの再スタート。大幅にスキルアップしないと合格はおぼつかないだろう。

試しに課題発表後の短期間だけでもスクール受講を検討すると、例えば大手2校より割安なTACの設計製図本科生なら課題8回分で19万円(通信講座なら15万)。次回も落ちてカド番で3年目に臨むプレッシャー、徒労感、受験料・時間などの損失を考えると、この金額はリーズナブルかもしれない。

ただしTACは新宿や渋谷にしか学校がないので、かさばる製図版を抱えて電車で通学するのが面倒だ。最寄りの中核都市に日建・総合資格はあるが、短期コースでも20万は超える。調べれば他にも割安な通信添削や教材がありそうなので、あえて2年目も独学で製図に挑んでみるのは悪くない。

「都心から家が遠い」という条件を考えると、各校やウェブサービスで提供されている通信添削はメリットがありそうだ。対面でインタラクティブに教えてもらえれば便利だが、添削だけなら価格が半額以下になったりする。

今年の勉強方針についてももうしばらく考えてみようと思う。