かくてもあられけるよ

30代でリタイアした元ITベンチャー社長の末路

小規模企業共済の確定申告。e-Taxの退職所得入力にはコツが必要

国税庁の確定申告書等コーナーでe-Taxの送信を済ませたところ、手元に中小企業基盤整備機構から届いていた、退職所得の源泉徴収票がもう1枚あることに気がついた。

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昨年退職と同時に解約した、小規模企業共済の分だ。退職金についてはしっかり届出して分離課税されているので、徴収額に間違いはないと思う。ただ、確定申告に漏れがあると後の修正申告など面倒そうなので、追納額に影響はなさそうだが、しっかり入れておきたい。

源泉徴収票を1枚追加すれば簡単に済むと思ったところ、作成コーナーでは退職所得について2枚以上入力できない仕様になっていることがわかった。代替方法としては、e-Taxソフトをダウンロードしてインストールするか、紙に手書きするしかなく、せっかく申告が終わったところなのにまたやり直しかと思ってげんなりした。 

しかし、そもそも退職所得の源泉徴収票が2枚ある状況がイレギュラーだと気づいて、適当に入力値をいじったら作成コーナーでの再提出がうまくいった。原因として、中小機構から送られてくる源泉徴収票が不親切な表記のため、退職して共済金を受け取った人は確定申告で必ずはまるのではないかと思う。

退職金の申告は一生に何度もない機会だと思うが、そのためかウェブに情報がまったくなく、解決法がわからなかった。一応、誰かの参考になるかもしれないと思って、顛末を記録しておこうと思う。

エラー続出で退職所得を入力できない

再びIEで作成コーナーを立ち上げて、バックアップしていた.dataファイルを読み込ませる。申告書Bの画面の下の方、「分離課税の所得」の一番下に目指す「退職所得」の入力項目がある。

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ここに退職した会社からもらった源泉徴収票を入れていた状態だが、給与所得と同様に「もう1件入力する」を選んで中小機構の分を追加しようとする。新しいページで「区分」を選ぼうとすると、中小機構の場合は2段目の「法第201条第1項第2号適用分」に該当するわけだが、なぜかここがグレーアウトして選べなくなっていた。

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元に戻していろいろいじっていると、「TA-W74002 作成コーナーでは、法第201条第1項第2号適用分以外の場合、他社分の退職手当の入力を行うことができません。」というエラーが出た。すると、中小機構の分を先に入力して、2件目で会社分を入れればよいということだろうか。

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その通りにやり直してみると、今度は「TA-E74013 作成コーナーでは、法第201条第1項第2号適用分の場合、2枚目以降の源泉徴収票の入力は行えません。」というエラーが出た。

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先の警告メッセージと見比べると、「他社分の退職手当の入力は可能になるはずだが、2枚目以降の源泉徴収票は入力できない」という矛盾した状況に陥っている気がした。

また、中小機構の源泉徴収票通りの数値を入力すると、なぜか「TA-E71004 入力された内容に誤りがあると思われます。」エラーが出た。

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原因を考えると、退職所得控除額の部分が会社の勤続年数から計算された金額になっているのに、中小機構の「勤続年数」欄は共済の加入期間でそれより短く記載されているからだとわかった。ここを会社と同じ年数に変えると上記の「誤り」エラーは回避できた。

次に「入力修了(次へ)」ボタンを押すと出るエラーが「TA-E74004 法第201条第1項第2号適用分の場合、源泉徴収票の適用欄に記載されている他の退職手当等に関する入力を行ってください」という内容だ。

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しかし中小機構の源泉徴収票、摘要欄には何も記載されていない…。

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国税庁からの回答に従いe-Taxソフトを入れたが…

さすがに手詰まりになり国税庁の問い合わせ窓口にメールでエラーコードを添えて質問したところ、以下のような回答が来た。

お問い合わせいただきましたが、確定申告書等作成コーナーのご利用になれない方に掲載のとおり、「所得税法第201条第1項第2号適用分の源泉徴収票がある方で、退職所得の源泉徴収票が2枚以上ある方」は、確定申告書等作成コーナーはご利用いただけません。…ご利用者様の場合、e-Taxソフトでなら、作成が可能となりますので、e-Taxソフトのご利用をご検討ください。

 「ご利用になれない方」のリンク先を見ると、確かに

所得税法第201条第1項第2号適用分の源泉徴収票がある方で、退職所得の源泉徴収票が2枚以上ある方

という記載がある。すると、そもそも自分のはまっている状況がシステム的にイレギュラーで稀なケースだったと考えられる。小規模企業共済に入っていて人は案外少ないのだろうか。面倒だが、指示通りにe-TaxソフトをダウンロードしてPCに入れてみた。

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このe-Taxソフトだが、最新版や追加モジュールを入れるため、セットアップに結構時間がかかる。しかも作成コーナーで申告済みのデータは引き継げず、また住所入力からやり直しになると思うとうんざりした。これまでの流れからして、e-Taxソフトで進めてもまたエラーになる可能性がありそうだから、これはいよいよ税務署に出向いて相談しながら記入した方が早いのではと考えた。

会社の源泉徴収票原本は中小機構に送付済みだった

スケジュール調整して税務署に行く前に、一応、退職所得の原理を復習しておこうと思ってネットで調べてみた。懸案の「所得税法第201条第1項第2号適用分」というのは「同一年中に2か所からの退職手当等の支給があった場合」に相当するようで、国税庁の質疑応答事例をじっくり読んだ。中小機構の源泉徴収票の源泉徴収額が支払金額に対してどうも大きすぎるように思えるのだが、これは会社で徴収した分からの残額ということだろうか。

中小機構のウェブサイトを見てみると、

共済金(解約手当金)を請求する際、すでにほかから退職金が支給されていた場合、合算して源泉徴収税額を計算することになりますので、源泉徴収票を提出していただくこととなります。

と記載があった。半年ほど前の記録を見返してみると、確かに中小機構に会社の源泉徴収票を送った形跡があった。すると手元にある源泉徴収票はそのコピーで、本来は確定申告に使うべきでないものだった可能性がある。

すると中小機構では、会社の退職金と徴収額を把握しており、共済金から退職金を合算した総額から計算した所得税のうち、会社で徴収されていない残りを控除したと想定することができる。

2か所支給の退職金、源泉徴収額を再計算

退職金に対する源泉徴収額はそれほど複雑な計算でないので、念のため検算してみた。勤続年数(1年未満は切り上げ)から退職所得控除額を求め、残額をさらに1/2にして1,000円未満を切捨て。これが課税退職所得で住民税計算のベースにもなる。速算表で税率と控除額を求めて102.1%をかけたものが源泉徴収額だ。慎重に計算したところ、会社の控除額も中小機構の控除額も、上記の想定通りで間違いはなかった。

とすると、作成コーナーではエラーが出るが、退職金の徴収額はやはり問題なかったということになる。ならば、還付・追納にも影響しない書類上の手続きだから、原則通りに入力すれば作成コーナーでやり直せるのではと気づいた。

中小機構の不親切な源泉徴収票を補って入力する

再び作成コーナーの退職所得ページを開く。本来なら会社の退職金に関する源泉徴収票は、原本を中小機構に送っているので、手元にないことになる(一応コピーを取っていたのでまぎらわしかった)。入れるのは中小機構で精算された徴収票1枚でいいはずだ。

1件目で「所得税法第201条第1項第2号適用分」を選択して、中小機構の分を入れるが、勤続年数は国税庁Q&Aにより「いずれか長い期間」が計算根拠になるはずなので、会社の方の年数を入れる。

そして記載が空欄だった摘要欄だが、ここに提出済みの会社側情報を記載すればよいと思われる。会社の源泉徴収票コピーを見て、支払者、金額、勤続年数を入れる。するとようやくエラーなしで退職所得の入力を完了することができた。もう一度ICカードリーダーでマイナンバーカードを読み取らせて、e-Taxの再送信もOKだった。

小規模企業共済の再加入は見送ろうと思う

退職金の確定申告で手間取ったのは、中小機構から送られてくる小規模企業共済の源泉徴収票が不親切だったのが原因だと思う。記載内容や徴収額に間違いはないのだが、表記通りに作成コーナーで入力すると必ずエラーではじかれるという状況だ。

ポイントとしては、「勤続年数」に会社側の長い方の年数を入れて、摘要欄に会社分の退職金と源泉徴収額を入力することだ。中小機構の源泉徴収票はなぜかこのあたりが抜け落ちているので、自分で補う必要がある。

税額は変わらないので、別に申告から漏れていても不都合はなかったと思うが、おかげで退職所得の計算(特に2か所以上から退職金・共済金もらった場合)に詳しくなれた。また節税目的の会社を清算して退職金とか支給する時に、参考になるかもしれない。

ただ、小規模企業共済はよほど売り上げが立って控除捻出に苦労するくらいにならないと、メリットが薄かったので再加入は見送ろうと思う。最大月額7万円で翌年分の前納も可能なので、個人でできる節税策としては確定拠出年金よりは有効であろう。

ただ、会社レベルでは経営セーフティ共済の方が月額20万円まで積めて、解約で損しない納付期間も40カ月と短いので、こちらをフル活用してからになると思う。